最近の私

近頃、私は少しずつ変わり始めている

それは空から雨が降ってくるような

自然に起こされたものではもちろんなくて

私が変わろうとしているからだ

 

私は以前とても弱かった

か細い木の枝の方がまだ頼り甲斐がありそうだ

と感じさせられる程には弱々しかった

精神が安定せず大酒をあおったり

自暴自棄になって腕を切ったり

薬を大量に飲んだりしていた

人に沢山頼り迷惑もかけただろう

誰かといないと寂しくて空が落ちてくるようだった

しかし、最近は落ち着いている

未だ強くなったとは言えないだろう

でも、そうなろうと努力している

 

精神が落ち着いたことは数多の幸福をもたらした

一番嬉しかったのは食べ物に味を感じることだ

以前は味覚がまるで働かず

モノクロのような世界が広大無辺に広がるだけ

何も感じない

だが空腹なので食べれば充足はそこにあった

それが食事の動機であった

しかし今は味がある

それが嬉しくてたまらない

そうなると少しずつ生活が豊かになっていった

以前はままならなかった趣味を愉しむことができる

嗜好品を一つ増やしてみた、煙草だ

香り、風味、ああなんと満たされていることか

これもまた一興だ、そう思った

紅茶も再開した

美味しい、あれもこれも試してみたい

とにかく白黒の生活に色がついたみたいだった

 

拒絶していた仕事も受け入れるようになった

なんて事のない在宅ワーク

知人は誘ってくれていたのに

私は余裕がないと長い間断っていた

しかし今は少しずつこなしている

まだ私は労働ができる状態ではないと思うので

これくらいが丁度良い

薄給で仕事内容も詳しくは教えられないが

とにかく今は出来ることをしたい

 

ところで、私にはせねばならないことがある

学び勤めることだ

後期の言語学の発表は既に終えた

これで数学や物理に心血を注ぐことができる

しかし一方で専門の研究は暗礁に乗り上げつつある

どうやらドイツ語の意味論や統語論

必要ならば古いドイツ語まで学び

その上で茫洋たる分析を行う必要があるらしい

院試をどうするかも考えなくてはならない

いやはや、人生はやはり安定しないものだな