Peaky man

 

先日、誕生日を迎えた

歳を取ること自体もそうだが

人生が相変わらず向上しないまま

歳月のみが過ぎ去っていく

大人になるという事はこういう事なのだろうかと

日々の中で痛く感じながら

『生』という吊り縄にしがみついている

 

 

 

 

広大無辺な人生という原っぱにおいて

問題は山積している

まず私に残された時間は少ない

研究者として生きる為の寿命も然れば

大学の在学上限も首の皮一枚だ

そして私にはお金がない

全く社会階級というのはどこに行っても厄介だが

笑えぬほど最下層出身で身寄りのない自分には

当然だが今までもこれからも

進学の出資者なんていないので

これもまた問題である

ないこと尽くしである

 

また、病状が芳しくない

私が患う複雑性PTSDという病は

心と体を餌として私を蝕んでいく

毎日のように見る悪夢

過去の生臭い記憶 

理不尽な暴力どもが支配する

血溜まりの匂いが鼻につく過去

大昔に存在した私を蹂躙する悪魔達の夢

それはいつも

『死にたくない!』とか

『痛い!怖い!誰か助けて』

という実存的恐怖を与えて私の目を覚まさせる

毎日仕事から帰ってくる度に

今日だけは穏やかな眠りが訪れるように

神様に祈って

時々は平穏に終わる

でも大体はあいつらがやって来る

夢の後は恐怖に過敏になる

例えば、家を出る時に思う

あいつらが私を追って遂に辿り着いて

このドアの向こうに潜んでいたらどうしよう、とか

職場付近で男性の怒鳴りが聞こえたら

体が硬直して動けなくなる、とか

実際に職場やその付近で

知人男性と知らぬ男性組に

今年に入って2度も暴行を受けたが

『クソ!死ね!2度と被害者になんてならへん!

やり返してやる!舐めやがって!』とか

色々思っても体は石のように動いてくれない

と、例を挙げれば暇がないわけだが

このようにして日常の何もかも

私の全てが侵されていく

きっと誰にも理解してもらえないし

私は辛かった何もかもを独りで抱えて

墓場まで持って死んでいくつもりだが

最近は心が弱っているのだろうか

時々思ってしまう

誰か助けて、とか

子供みたいに誰かに泣きついて

あの時の恐怖をありのまま

辛かったこと全部を吐き出して

楽になってしまいたい、とか

くだらない事を

しかし、一体誰がそんなことを許すだろうか

私は今までもこれからも助けてもらえない側にいる

幼少期から一体どれだけのサインを

助けが必要だと示す言の葉を

周りに紡いできただろう

そして何度も無かった事にされてきた

一方で、周囲に悪びれもなく助けを求めて

そして嫌な顔ひとつされずに助けてもらえる

そんな人間もいる

この世に蔓延る格差の一形態なのだが

これを是正する事は不可能なので

自分を変える方が楽であった

即ち、恰も初めから助けなんて要らぬほど

強い人間を模した芝居に興ずるのである

現代の思想に反旗を翻すわけでもないが

私は仮にも男なのだから

全て抱え込むのも男の仕事だと

割り切って強かに生きるべきだ 

誰にも縋ったりしない

しかし、心は確実に腐っていく

私の中身が啄まれ腐食していくのを感じる

『何もつらい事はないし、すべてがつらく感じる』

というアンビバレンス、心理学的感覚のエラー

他者に助けを求めてはならない、と

誰にも頼らせてもらえなかった者は

どんな理不尽もただ一身に受け入れるしかない

その結果がこのエラーであり

心身の腐食であり

私の人生なのだ

この社会で生きることに嫌気がさす事くらいは

許して欲しい

 

 

 

 

突然だが私の目先にある夢は大学院進学である

最近何故か将来についてしばしば聞かれるのだが

根本の部分で夜職が大嫌いで向いてないので

近年中に辞める予定ではある

こんな事に続ける価値は無いと私は思う

私はとにかく大学院で言語学を専攻すること

これ以外のことに全く興味がない

私はこの為だけに文字通り血反吐を吐きながら

泥水を啜る想いで耐え忍んで生きてきた

とても興味深くてまだ誰も研究した事のない

大域的で様々な分野を含む研究テーマを抱えている

言語類型論・意味論・語用論・統語論を跨いで

英語・ドイツ語・イタリア語を筆頭とした

欧州言語全般に普及する定性効果を共時・通時的に

調べ上げたあとでスラブ諸語やセム語系に適用して

定性の本質を世界規模で探索していく

私にはこれが面白くて仕方がない

先に示した通り、私にはお金がないので

こんな事は夢のまた夢であればまだ良い方なのだが

とにかく臓器を売ってでもお金を稼いで

いつか進学したい

私に残された唯一の希望であり

戦時中の食糧難の時のように

この夢に縋りついている間に訪れる

刹那的な安寧を

少しずつ大事に噛み砕いて

息を繋いでいくしかなさそうだ

Whether it comes off or not...